広告メディアとターゲティングについて
こんにちは。
Twitter等で話題になっていますが、
資生堂の上期決算資料 P.41に興味深い内容が書かれていました。
リンクを参照して頂ければ分かりますが、
2023年までに媒体費に占めるデジタル比率を90〜100%にするようです。
資生堂のテレビCMは、男性の私でも印象に残っているものが多いので、
それなりにお金を掛ける意味はあると思っていますが、
テレビCMや新聞広告は、ユーザに届いているかを評価しづらいため、
費用対効果の判断が難しく、近年では敬遠される傾向にあります。
一方で、ネット広告の強みはユーザのターゲティングの精度であり、
年齢や地域、好みを広告に反映することで、高いコンバージョン率が期待できます。
そのような背景から、2019年はネット広告がテレビ広告を上回ることになりました。
ターゲティングという観点で考えると、
テレビを見るユーザ層が高齢化していることにより、
資生堂のターゲットからずれてきていることも影響しているかもしれません。
既に資生堂を利用している高齢者は、今後も継続的に使うことが期待されるため、
テレビや新聞に広告を出す効果が低いことに加え、
新しく化粧品を試す可能性も(若年層と比べると)低いと考えられます。
そのため、新しくユーザとなる10代、20代に向けて周知するのであれば、
圧倒的にデジタル広告の方が有利です。
また、上述した通り、デジタル広告の方が効果測定が容易であるため、
予算を有効に使うという意味でも、デジタル広告にシフトするメリットは大きいです。
逆の観点から考えると、
テレビやラジオ、固定電話、FAX等を使っているユーザ層は、
高齢者(65歳以上)であることが期待されるため、
健康食品や医薬品、介護施設等の広告が有効だと考えられます。
(特に上記を組み合わせると高い確率で高齢者にアクセスできると思います。)
元来は、広告メディアを展開する中で、ターゲットを設定していましたが、
高齢者に対しては、広告メディアの選択自体がターゲティングの手法に成り得ます。
放送局や新聞社はメディアを支配することによって存在感を示してきましたが、
資生堂のような伝統的な企業がデジタル広告にシフトする姿勢を打ち出したことは、
今後の広告・マーケティングのデジタル化を大きく加速させると思います。
もちろん、依然としてテレビや新聞の影響は大きいですが、
グローバル化への対応やコストパフォーマンスを考えると、
なかなか優位性を出しづらいと考えます。
このような流れの中で、今後、既存のマスメディアがどのように対応するのか、
非常に興味深いです。
(対応できずに無くなってしまう可能性もあると思っています。)
それでは。