orangeKid's blog

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Googleの保険事業参入による影響

 

こんにちは。

 

Alphabet傘下のVerilyが保険子会社Coefficientを設立する、

というニュースが入ってきました。

 


上記リンクからGoogleの公式アナウンスにアクセスできますが、

その中でも以下の箇所が非常に興味深いと思いました。

 

Coefficient’s precision risk solution is designed to provide self-funded employers with more predictable benefit plan protection. It uses an analytics-based underwriting engine to identify unexpected areas of cost volatility, and cover those exposures with more dynamic and precise insurance policy provisions. Over time, Coefficient plans to integrate Verily’s suite of health devices and tech-driven interventions for workers and dependents into its precision risk solution to improve health outcomes and control cost. 

 

保険のリスク・リターンを正しく計算する上では、

加入者の健康状態について、できるだけ正確な情報を得る必要があります。

 

今までは、加入者本人による情報提供や、医師の診断書等をベースにしていましたが、

当然ですが、そこから得られる情報には限界があります。

 

 

一方で、上記の情報と比較して、Googleが保持している情報は量も質も圧倒的です。

 

彼らが持っている情報を保険に活用しようとした場合、

以下のようなデータが使われる可能性があると思います。

 

検索ワード:病気や治療法に関する検索履歴

Gmail:メールに記載されている病気や健康に関する文章

Alexa:家庭内での会話

Smart watch:日常的な血圧、心拍数、運動の頻度などのデータ

Google maps:病院に通っている頻度、海外などへの渡航データ

 

上述したように、Googleは圧倒的な個人情報を持っており、

場合によっては本人以上にその人のことを知っている可能性すらあります。

 

そのため、Google(をはじめとしたIT関連企業)が

保険事業に参画することの影響は思っている以上に大きいと思います。

 

 

 

それでは、 今後の保険業界で何が起こるのでしょうか。

考えられることの1つとして、保険の2極化があると思います。

 

 

「高い精度で健康状態を評価できる=適切な保険料の設定ができる」ことから、

(保険会社が審査・判断する)現在の保険と比較した場合、

健康な人の保険料は低く、病気のリスクのある人の保険料は高くなります。

 

そのため、健康な人ほど、データの活用に前向きであり、

個人データに基づいた保険に加入しやすくなると考えられます。

 

 

一方で、病気のリスクが高い人にとっては保険料が高くなる可能性があるため、

このような保険を敬遠するかもしれません。

 

そのため、そのような人ほど、

医師や、営業マンの対面判断による見逃しが期待できる、

(相対的に)リスク・リターンの判定が不正確な既存の保険に向かうと思います。

 

その結果として、既存の保険会社の保険料が値上がりする可能性があります。

(逆に、値上げしないと保険会社が損する可能性が高いと思います。)

 

 

このように、母集団の2極化が生じることによって、

業界地図が大きく塗り替えられる可能性があると考えています。

 

保険加入者側としては、自分が納得できる保険を選べば良いだけなので、

影響はそこまで大きくないと思いますが、

既存の保険会社にとっては、より厳しい競争に巻き込まれることになるので、

影響は甚大なのではないでしょうか。

 

 

今までは、健康な人も、病気のリスクが高い人も、

ある程度、両方をミックスする形で母集団を形成していたため、

個人間でのリスク・リターンに差がありましたが、

これからはより適切な形に是正されることが期待されます。

 

健康な人にとっては望ましい形になりますが、

そうでない人にとっては、今よりも厳しい形になると思います。

 

様々な業界が、いわゆるGAFAの影響を受けてきましたが、

その影響は保険業界にも波及することになりそうです。

 

 

生命保険の現状を理解する上では、少し古い本にはなりますが、

ライフネット生命の創業者のお二人の本がとても参考になります。

 

興味がある方は是非。

 

生命保険入門 新版

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  • 作者:出口 治明
  • 発売日: 2009/12/22
  • メディア: 単行本
 
生命保険のカラクリ (文春新書)

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  • 作者:岩瀬 大輔
  • 発売日: 2009/10/17
  • メディア: 新書
 

 

それでは。