自分の中に知識を蓄えることの価値
先週末、出張で地方に出かけた時に、iPhoneの充電ケーブルを忘れてしまい、
図らずもオフライン状態で20時間位過ごしました。
電車やバスの時間や、目的地の地図等の必要な情報は、
PCにドキュメントが残っていたのでそこまで困りませんでしたが、
想像した通りかなり不便でした。
考えてみると、i-modeが始まった辺りから、常時オンライン状態になり、
今自分が知っていることや分かっていることの範囲がかなり大きくなりました。
昔であれば、電車の時刻表や待ち合わせ場所などの情報は、
事前にしっかり確認しておかないと、
当日になってからではどうしようもない場合が多かったと思います。
また、相手の電話番号なども、自分で作った電話帳を使うか、
タウンページ(なつかしい響きですね)を使わないと、知りようの無い情報でした。
漢字についてもほぼ同様で、
忘れてしまった漢字や知らない漢字が出てきたら広辞苑を引く等して、
調べる必要がありました。
そのため、「情報を持っていること」の価値が今よりも遥かに高く、
「知らないということ」は場合によっては大きなデメリットになる可能性がありました。
このような社会状況においては、情報を持っている人 = 偉い人になるので、
会社の階層構造は、そのまま持っている情報の量に比例していました。
また、昔は学術論文は大学で読むしかありませんでしたし、
授業が公開されることもなかったため、入学すること自体に価値があり、
大学も情報を囲い込むことで価値を高めていました。
(今ではPubmed等で論文検索ができますし、iTunes U等で授業を閲覧できます。)
しかし、常時オンラインであることが可能になると、
情報は調べれば得られるものになるので、
情報を持っていることよりも、情報にアクセスする方法を知っていること
の方に価値が移ってきます。
また、ただアクセスしても、ネット上の情報は玉石混交なので、
情報を見極める能力やキュレーションにも価値が生まれます。
ビッグデータ解析にも言えることですが、
もはやデータベース自体には意味が無く、
そのデータから何を読み取るか、どう分析するのか、
ということにフォーカスが移っているように感じます。
そのため、情報に対する古い価値観に基づいて構成された組織は、
そう遠くない将来に破綻してしまうと思うので、
情報自体では無く、その情報の周辺領域に価値が移っていることを認識して、
今後の組織体制やサービスを考える必要があります。
それが具体的にどういう形になるのかは分かりませんが、
GunosyやTERIYAKI等のサービスは正にその代表ですね。
今後、どういうサービスが出てくるのか、とても楽しみです。
以下に、参考になる書籍を紹介しておきます。
それでは。
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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- 作者: スティーブン・ローゼンバウム,監訳・解説:田中洋,翻訳:野田牧人
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